afternoon life

悩み多き人生ですが、残りの半生を楽しく意義あるものにしたいと思い、綴っていきます。

賃貸人(大家)のリスク

第二の収入として家賃収入を検討している人って多いのでしょうか。最近amazonで投資本を買うことが多いせいか、おすすめ本に空き家などを買い取ってアパート経営で成功するという本があったのですが、その本のページに飛ぶと、類似の本がずらり。。。そういう選択肢も確かにあるのでしょうし、成功すれば大きいですよね。

でも、そのリスクは途方もなくデカいと僕は思っています。それは金銭だけの問題ではなく、民法612条(賃借権の譲渡及び転貸の制限)2項の解除制限があるからです。

 僕はかる~くしか勉強していないので、間違いがあれば指摘してほしいのですが。。。

民法で賃貸の勉強をした時にものすごく違和感を感じたのが、民法612条2項の解除制限で、これは民法に明文化されたものではなく、判例法(最高裁判例(昭28・9・25))が根拠となっているのですが、簡単に紹介すると・・・

民法612条

1 賃借人はあ、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。

2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。

 

賃貸人とはいわゆる大家を差し、賃借人は借りてのことを言います。

ここで述べられているのは、大家の許可なく勝手に第三者に部屋を貸して使用させてはだめですよ、違反すれば大家さんは賃貸契約を解除することができますよ、という話なのですが、残念ながら話はこれで終わりません。

前述の最高裁判例で凡人には理解不能な「信頼関係破壊の法理の制限」というものが出てくるからです。

 

どういうことかというと、勝手に第三者に目的物の使用・収益をさせた場合でもその行為が賃貸人に対する背信的行為でなければ解除することができない。というもので、簡単に書くと、長期で借りていて賃料も払っているんだから、多少のことは目をつむれよ。ということです。(この辺の定義はものすごく曖昧ですが、自分はこのように受け取っています)

信頼関係の法理とも言います。

大家側にどんな不便が生じるかというと、賃借人(借りる側)の義務として目的物の保管義務というものがあり、内訳として目的物に対する善管注意義務、目的物の用法尊寿義務というものがありますが、この両方に影響を及ぼす可能性があります。

善管注意義務とは債務者は、その引き渡しをするまでに善良な管理者の注意をもって、その者を保存しなければならないというもので、家を出るまでは大事に使いなさいよ、とうこと。目的物の用法尊寿義務とは、例えば住居として借りておいて、事務所として使用したりしないこと、を言います

逆に言うと、これらが影響を受けるということは、部屋を粗末に扱われたり、知らない誰かに勝手に使用されても信頼関係の法理で契約解除できなくなる可能性があるということです。

部屋を埋めるために長く住んでもらえる方が大家としては助かるわけですが、それが返ってあだとなる可能性があるわけですね。

 

で、この信頼関係の法理ですが、僕の記憶が定かであれば、困ったことに家の改修・修繕にも及んだはずです。つまり、ちょっと家を「無断で」いじったとしても、信頼関係が成立しているのだからそれを理由に賃貸契約の解除(退居)ができなかったと思います。

 

更にこれは賃貸契約の更新にも及びます。

賃貸契約は原則3年ですが、これを期間満了前に3ケ月以内に更新しなければなりません。ですが、大家が契約の更新をしたくなくともこれを拒めなくなる可能性がでてくるのです。

僕の知識ではまだ一般法である民法のレベルなので、特別法にあたる借地借家法になるとどうなるのか僕は知らないのですが、正直これを勉強して知った時は、はぁ??って感じでした。

まったく、頭のいい人たちの考えることは理解不能です。

まぁ、こういった法律を背景にする以前に日本人口減少により、必然的に外国人労働者の入居を受け入れていく必要が出てくるでしょうし、そういった覚悟も必要な時代ですよね。

 

そうそう、民法っていうと、マスコミはこぞって明治に施行された古い法律だから現代に即していないなどと批判をしますが、法律というものは頻繁に改正されます。それは民法も同じです。

古いということは、それだけ法治国家として歴史があるということなので、民法は古いから~などとマスコミが言うことをそのまま知ったかぶりして言うと、恥ずかしい目に合うかもしれませんので、やめた方が良いですよ。

民法についても何度も改正を重ねてきましたが、平成29年に大幅に改正され、2020年の4月1日に施行されます。

特に契約関係が抜本的に見直されるようなので、大家さんになりたい人や既になっている人は注目した方が良いかもしれませんね。